アルルの古代劇場
- Théâtre antique d'Arles
場所 : Arles

 

「古代劇場」(Le Théâtre antique ル・テアトル・アンティック)。「古代」とはいうものの、実はこちらも現役として活躍している立派な劇場なのです。

毎年暖かい時期になるとオペラやコンサートが催され、大勢の人で賑わいます。ユネスコの世界文化遺産の1つで、ローマ時代の華やかな舞台を想像しながら鑑賞できるなんて素敵ですよね。時代をタイムスリップしたかのような気分を味わえます。

 

ところで、南仏アルルの古代劇場は、現在の姿を取り戻すまでに紆余曲折がありました。

紀元前1世紀にローマの植民市となったアルルの街は、後に「小ローマ」と呼ばれるほどの繁栄を見せたといいます。その最初期に建てられたものの1つが古代劇場でした。10000人以上を収容したという3階建ての半円形の客席がせりあがり、当時は幅50m、奥行き6mの舞台が、真ん中のオーケストラ席を挟んで置かれていました。舞台の奥には豪華な装飾が施された壁が建てられていたといいます。今も2本だけ残るコリント様式の柱は、その装飾の名残。ちなみに、ルーブル美術館でお目にかかれる「アルルのヴィーナス」像は、この舞台奥に飾られていたとか。

しかし、5世紀初頭まで使用された劇場はその後、喜劇や異教の見世物を良く思わなかったキリスト教によって、運命を変えられることになります。何と教会建造のための石切り場として利用されたのです。結果、劇場の多くの部分は取り壊され、その地には後々、住居や道路、教会等が整備されていったのでした。また、円形闘技場と同様に要塞化されたともいわれています。

そして時は流れて18世紀後半、街に埋もれていた古代劇場に転機が訪れます。当時建てられていた修道院の中庭から見えたという、今日に残る2本の柱跡へ注目が集まり、これがきっかけで劇場跡が再発見されることに。19世紀に入って始まった発掘作業は、1860年に完了し、古代劇場は再び日の目を見ることになったのでした。

こちらの古代劇場、一般見学であれば円形闘技場と同じチケットで入場できてお得です。もちろん暖かくなってきたら、コンサート等にもぜひ。アルル観光の際に一度は覗いてみたいスポットです。

投稿 : 2021年10月14日
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