Château de Tarascon1
タラスコン城
- Château de Tarascon
場所 : Tarascon

中世フランスの名城のひとつに数えられるのがタラスコン城(Le château de Tarascon ル・シャトー・ド・タラスコン)です。

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843年の神聖ローマ帝国分裂後、政治的境界線となったローヌ川(Le Rhône ル・ローヌ)。タラスコン(Tarascon)には監視するための砦が建てられていましたが、その場所に築かれたのがタラスコン城です。プロヴァンス伯であったアンジュー公ルイ2世(Louis II d’Anjou ルイ・ドゥー・ダンジュー)による築城は1400年に始まり、息子のルイ3世(Louis III d’Anjou ルイ・トロワ・ダンジュー)に引き継がれ、1435年に完成。城壁に囲まれた重厚な建物からはまさに要塞としての堅牢さが見て取れ、パリのバスティーユを想起させるとも言われます。城壁上からの眺めは抜群です!

 

続いてルネ1世(René 1er d’Anjou ルネ・プルミエ・ダンジュー)は、城塞の内装や装飾に注力。これらは後期ゴシックのフランボワイヤン様式(Gothique flamboyant ゴシック・フランボワイヤン)や初期ルネサンス様式装飾建築の好例とされ、部屋の絵画装飾等を含めて「壮麗」・「洗練」という言葉がぴったりです。芸術に親しんだ領主の面影が見え隠れしますね。また、内部の居住棟には領主や来賓がくつろげるゆったりとした空間がいくつも広がります。数多く催されたとされるパーティーは、さぞかし華やかなものだったことでしょう。

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このように、タラスコン城は要塞と宮殿という2つの機能を併せ持った「城塞」。重厚かつ華麗な建築のコントラストは見事です。

 

しかし、ルネ1世亡き後も要人の宿泊等に使われてきたタラスコン城ですが、徐々に華やかな舞台から遠ざかっていきます。兵士の駐屯所に始まり、17世紀には監獄として使用されました。囚人たちが壁に残した落書きがそれを物語ります。そして革命後の1816年から1926年までは拘置所として機能。こうした歴史の上にタラスコンのシンボルとしての今があるのです。まさに建物のコントラスト同様、歴史にも光と影が。こうした背景がまた、古城の魅力を引き立たせるのかもしれませんね。

投稿 : 2021年8月3日
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