ロンシャン宮殿
- Palais Longchamp
場所 : Marseille

「パレ・ロンシャン(Palais Longchamp)」

一見するとその建造物は、噴水が美しい庭園を備えた宮殿のよう。しかし実は、19世紀以来、マルセイユ市民の生活を支える給水塔というのが本来の姿です。

 

19世紀前半におけるマルセイユの水環境は、しっかりと整備されているとはまだまだ言い難いものでした。当時は度々の干ばつや、都市部の拡大により水不足に。また1834年には一転、洪水が発生しコレラが流行。水質や衛生環境の早急な改善も叫ばれました。その結果、この地域を流れるデュランス川(La Durance;ラ・デュランス)から生活用水を引いてくる計画と共に、マルセイユ運河(Canal de Marseille;カナル・ドゥ・マルセイユ)が1849年に完成。現在パレ・ロンシャンが建つ台地まで水が到達し、街は潤っていったといいます。その際に給水塔として整備され、さらにはデュランス川の恵みがマルセイユにもたらされた記念のモニュメントが1869年に造られました。これがパレ・ロンシャンなのです。

高台では、デュランス川の恵みを表す彫刻などで飾られた凱旋門を軸として、列柱が並ぶ左右対称の半円形の回廊が、眼下の噴水盤を包み込むように腕を広げています。また、凱旋門正面に置かれる3人の女性像もデュランス川の寓意像といわれ、手前にいる4頭のカマルグ(Camargue)の雄牛が引く車に乗って、正面の広場と街を見下ろします。足元から流れる水、その様子はまさにマルセイユを潤しているかのよう。天気の良い日には、噴水を眺め、水の音を聴きながら、広場をのんびりと散策してみましょう。何とも心地よい時間を過ごせますよ。

投稿 : 2021年5月24日
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