「ロトンドの噴水(La fontaine de la Rotonde ラ・フォンテーヌ・ド・ラ・ロトンド)」。

基礎となる円形の泉の大きさは直径32m。中心には、噴水と共にモニュメントが天に向かって掲げられ、その高さは12mにもなります。泉から伸びる台座に担がれた水盤の上には、3体の大理石像が。ギリシャ神話の3美神(Les Trois Grâces レ・トロワ・グラース)にも例えられることもあるこれらの女性像は、その姿からエクスを象徴する寓意となっていることをご存知でしょうか。

ミラボー大通りから裁判所(Le Palais de Justice ル・パレ・ド・ジュスティス)方面を見つめる像は、正義・公平さを表現。

続いて、ベルジュ通り(L’avenue des Belges ラヴニュ・デ・ベルジュ)が伸びるマルセイユ(Marseille)方面に顔を向ける像は、農業を表し、この地域で行われる産業活動を示します。

最後に、アヴィニョン(Avignon)方面を向く像は芸術の寓意。大学や高度な学術機関がこの地に置かれたことを表します。

エクスのメインストリートであるミラボー大通り(Le cours Mirabeau ル・クール・ミラボー)の西端は、まさに中心街への正面口。1860年に完成した噴水とその頂点に立つ「3美神」は、訪れる者をまず最初に出迎え、エクスの街の豊かさと繁栄を伝えてきました。また、ロトンドの噴水が建つ円形広場からは、放射線状に道路が伸びます。マルセイユ、アヴィニョン、エクスの中心街方面…。女性像はそれぞれに目を向け、道を示しているのです。古くからプロヴァンス地方の中心であったエクス。各地をつなぐ要としての姿も、これらの女性像は象徴的に表しているのかもしれませんね。