La Collégiale Sainte-Marthe1
聖マルタ参事会教会
- La Collégiale Sainte-Marthe
場所 : Tarascon

ローヌ川(Le Rhône ル・ローヌ)沿いで人々を苦しめていた怪物タラスク(Tarasque)を退治した聖マルタ(Sainte Marthe サント・マルト)。舞台となった南仏プロヴァンスの街タラスコン(Tarascon)には、彼女を祀った教会が残されています。

その名も「聖マルタ参事会教会(La Collégiale Sainte-Marthe ラ・コレジアル・サント・マルト)」。

 

タラスコンを見守るように建つ姿が印象的なこの聖地は、古くから住民に寄り添い、信心深い巡礼者を幅広く受け入れることで街の発展に寄与してきました。加えて今では、プロヴァンス地方で屈指の美しさと言われる教会の建物や装飾、また教会内部に残る宗教画コレクション等の豊かな芸術性を目的とした観光客の注目も集めます。まさに物心両面におけるタラスコンの中心。今回はそんな教会の歴史を少し追ってみましょう。

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聖マルタ参事会教会の礎は、聖マルタのお墓と伝えられます。怪物を抑え、タラスコンで布教に尽力した彼女は、68年にその生涯を閉じました。後に祀られた場所は、現在の教会にある地下聖堂(La crypte ラ・クリプト ※1)。古い石棺の中には、聖マルタの聖遺物が残されています。イスラム教徒が脅威となった8世紀頃、お墓は破壊を免れるために一度埋められてしまったようですが、1187年に再発見。これを契機に、当地の人々は聖マルタが眠る地に新たな教会の建設を試みたのでした。完成したロマネスク様式の建物の一部は、今でも教会の南側に見ることができます。中でも美しい正門は見逃せません。

 

その後1197年、アルルの大司教座から聖別を受けた教会(※2)は、14世紀に入ってさらに拡大。教会の身廊部分(※3)などがゴシック様式で造られました。以降も近現代にかけて増改築が施され、またフランス革命や第二次世界大戦の影響を受けながら、現在の姿となっていったのです。それゆえ、教会はまさに様々な建築様式の複合体。地下聖堂を含め、聖マルタの魂が時代を超えて受け継がれてきた証のようです。

 

古くはフランク王国を築いたメロヴィング朝のクローヴィス(またはクロヴィス Clovis)の巡礼に始まり、ルイ9世(Louis Ⅸ ルイ・ヌフ)、アンジュー公ルネ1世(René 1er d’Anjou ルネ・プルミエ・ダンジュー)、さらにはルイ14世(Louis ⅩⅣ ルイ・キャトルズ)や宰相リシュリュー(Richelieu)なども訪れた由緒あるタラスコンの聖地。

投稿 : 2021年7月31日
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