「プロヴァンスの三姉妹」を知っていますか?実は「三姉妹」と言っても、人ではありません。南仏プロヴァンスに12世紀から13世紀頃に建築された「シトー会修道院」の3つの支院です。
エクス・アン・プロヴァンスの北西30キロにある「シルヴァカンヌ修道院」(Abbaye de Silvacane アベイ・ド・シルヴァカンヌ)、ラヴェンダー畑が美しいリュベロンの谷間の「セナンク修道院」(Abbaye de Sénanque アベイ・ド・セナンク)、エクス・アン・プロヴァンスとニースの間、最も人里離れた「ル・トロネ修道院」(Abbaye du Thoronet アベイ・デュ・トロネ)です。
「シトー会」はカトリックの修道会で、修道士たちは、華美な装飾を一切排除した簡素な修道院で、戒律を厳格に守り、清貧(せいひん)な暮らしを送りました。(現在は、修道士が生活しているのはセナンク修道院のみ)
質素な石造りの修道院は、装飾のない分、空間自体の広がり、静謐(せいひつ)さ、厳か(おごそか)さを肌で感じることができます。白い石肌と窓から差し込む光の美しさで、心が洗われ、穏やかな気持ちになるでしょう。
三姉妹の中で、エクス・アン・プロヴァンスから最もアクセスのよいのが、ラ・ロック・ダンテロン(La Roque d’Anthéron)という小さな村にある「シルヴァカンヌ修道院」です。エクス・アン・プロヴァンスから車で40分間。修道院の目の前に停まるバスも出ています。活気あふれる街エクス・アン・プロヴァンスから少しだけ離れたところに、ひっそりとこの特別な空間があります。
「シルヴァカンヌ修道院」は、毎夏7月から8月にかけて開かれるラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバルの会場にもなります。この時期にエクス・アン・プロヴァンスに滞在することがあれば、是非足を伸ばし、静けさに包まれながらピアノの演奏に耳を傾けてみませんか?
緑に囲まれてひっそりたたずむシルヴァカンヌ修道院
装飾の一切ない静謐(せいひつ)な空間
中央扉、奥にメイン祭壇
シンプルな祭壇に供えられた小さな野の花