セザンヌの父の帽子屋の跡のはす向かいにはミラボー通りで一番古い貴族邸宅 (Hôtel particulier)、モレル邸 Hôtel Maurel de Pontevèsがあります。エクス・マルセイユ大学の大学本部、高等裁判所を経て、今は商事裁判所 (Tribunal de commerce)になっているこの建物は17世紀にミラボー通りに相次いで建てられた貴族の個人邸宅の中でも、建物正面のバルコニーを支えるアトラス彫刻に象徴される豪壮かつ精細な外観で有名な建物です。
このお屋敷の当時の所有者モレル氏について。
ピエール・モレル (Pierre Maurel) は織物商人から身を起こし、ディヤーヌ・ド・ポントヴェースとの結婚を契機に、何と三度の結婚を経て複数の要職を務めあげ、最終的には世襲貴族の身分を保障する書面を受け取るまでに至ります。