《ニースっ子ステファニーのコート・ダジュール紹介》第四回 〜たくさんの画家たちを魅了したヴァンス〜

2021年08月28日
タグなし

近くにある「サン・ポール・ド・ヴァンス」とよく混乱されますが、「ヴァンス」という村もとても素敵です。カーニュ・シュル・メールの近くに位置して、高い崖や豊かな自然に囲まれているのでとてものどかな風景を描いています。

昔から残っている旧市街が今でもきれいに城壁に囲まれています。小さなギャラリーやアトリエが多く、あまり観光化されていない村なのでお土産屋さんなども少なめです。

旧市街の中心にある教会にぜひとも入ってみてください。薄暗くて最初は何も見えないでしょうが、目が慣れてきたら教会の奥左手にシャガールのモザイクがうっすらと見えてきます。、自由に写真が撮れ、とても貴重です。

実はそれほど知られていませんが、ヴァンスには昔からたくさんの画家が滞在しています。アーティストにとってインスピレーションを受ける場所だったのです。

スーティンやデゥフィが20世紀の始めにヴァンスに滞在、戦後はマチスとシャガールがその名前を残しました。

シャガールが1950年にパリから南仏へ移住したときに最初に住んだのもヴァンス。にぎやかな海辺より落ち着いた雰囲気が気に入ったらしく、パリ・オペラ座の天井をここで描きました。ヴァンスにてシャガール美術館の計画がありましたが、市長さんと喧嘩してしまい、その結果サン・ポールに移って、そちらの方に長く住無ことになりました。お墓もそちらにあります。

マチスは若いときからニースで冬を過ごして、アトリエを持っていました。しかし、1943年に戦争が激しくなってニースに滞在するのは危なくなった時期、ヴァンスに落ち着くことになりました。ニースでずっとお世話になっていた看護婦さんがシスターになって、ドミニコ会の礼拝堂のデザインをマチスにお願いしました。模型を作ることから始めた計画は、ブルーの瓦と真っ白な壁が特徴的で、この礼拝堂の一番の見どころになっています。青・みどり・黄色のステンドグラスが有名で世界中から見に来る人が絶えることはありません。

でもヴァンスはそれだけではありません。小さな村としてはかなり住民が多く、年中マルシェやいろんなイベントで活気があふれます。他の村と比べて観光客はそれほど多くないので、南仏の日常生活を味わいたいと思うならぜひヴァンスを訪れてみてください。

私は最後にヴァンスを訪れた日は蚤の市が開催されていました。プロの骨董商たちが美しい食器や家具を高額で販売するその傍らで、地元の人は要らなくなったがらくたを売り出すのです。思い出になる宝物が見つかること間違いなし!宝探し気分で蚤の市を楽しむのもフランスの旅行の醍醐味の一つです。

「《ニースっ子ステファニーのコート・ダジュール紹介》第四回 〜たくさんの画家たちを魅了したヴァンス〜」に1件のコメントがあります

  1. 初めまして。
    南仏の小さな町には、偉大な芸術家が関係していることが多くありますよね。
    私は小さな町の持つ美しさ、穏やかさが大好きです。
    これからもたくさんの町や村の紹介をお願いいたします。
    日本人が訪れたことの少ない場所の情報をお待ちしております。

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