《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第24回 〜ノストラダムスが予言書を書いたまち「サロン・ド・プロヴァンス」〜

2022年09月04日
タグなし

サロン・ド・プロヴァンスは、人口4万人ほどのまちで、ノストラダムスがいたことで知られています。
また、空軍基地や空軍士官学校があり、たまたま車で通りがかったときに、アクロバット飛行をしている戦闘機を見たこともありました。

16世紀にはすでにあったという「La Fontaine Moussue」は、見てのとおり「苔むした噴水」という意味。サロン・ド・プロヴァンスの名所のひとつです。日差しの強いプロヴァンスでは、噴水の周りで涼む人をよく見ます。

17世紀に建てられたという時計塔。

時計塔をよく見ると、曜日が星とギリシア・ローマ神話の神様で表されています。写真を撮ったのは日曜なので、針が日曜を表す太陽を指しています。
日曜=太陽
月曜=月
火曜=マーズ(火星):戦いの神
水曜=マーキュリー(水星):商業の神
木曜=ジュピター(木星):全能の神
金曜=ビーナス(金星):愛と美の女神
土曜=サターン(土星):農耕の神

ノストラダムスは医者でもあった

時計塔をくぐると旧市街に入り、少し歩くとノストラダムスの像があります。ノストラダムスは天文を研究していたので、天体義を持っていますね。

天文学者であり医師でもあったノストラダムスは、1503年に、ここから35キロほど離れた「サン・レミ・ド・プロヴァンス」に生まれ、1547年にサロン・ド・プロヴァンスに移り住み、1566年に亡くなるまでこのまちで研究を続けました。

ノストラダムスが実際に住んでいた家は博物館になっています。かの有名な「1999年に地球が滅びる」と予言した書「諸世記」も、この家で書かれました。

「Maison de Nostradamus(ノストラダムスの家)」。
ノストラダムスは仲間とともに医学、薬学、神学、哲学と多岐にわたる学問に従事しました。

エクス・アン・プロヴァンスでペストが流行っていたときは、医師として現地に赴き治療にあたっていた記録もあります。また、『化粧品とジャム論』という、フランス人で初めてジャムの作り方の指南書を書いた人物でもあります。

ノストラダムスというとオカルトチックな預言者のイメージでしたが、当時は最先端の知識人だったんですね。

12の宮がある、現在も星占いで使われているホロスコープに通じる図。ノストラダムスの家で展示されていました。
ノストラダムスは天体に深い関心を持っていて、そこから人類の運命を読み取りました。1999年どころか3797年までの未来を研究していたとか。

博物館は三階建で、下りの階段では「諸世記」の内容が巻物のように壁いっぱいに垂れ下がっていました。読めないけれど、迫力がありました。

アンペリ城で、おしゃれな軍服に釘付け

高台に建つアンペリ城は、プロヴァンス地方に現存する最古の城塞のひとつです。かつてはアルルの大司教の居城だったそうです。

いまは陸軍博物館となっていて、ルイ14世から第一次世界大戦(1914-1918年)までのフランスの軍事史のコレクションを見ることができます。制服、武器、旗、絵画などなど、これがカッコイイんです。
特に目を奪われたのは、剣の柄のデザイン。

手をガードする役割もあったとは思いますが、装飾が豪華。軍人の士気もあがりそうです。

さらに、軍服も凝っているんです。

ボタンの周りや袖に細かい刺繍! なんて手が込んでいるんでしょう。

帽子のリボンやスカーフ、袖口のレースなど、コーディネートもおしゃれです。

当時の軍人の絵。
現在は軍人というと迷彩柄の作業着にブーツ姿が浮かびます。目立たず動きやすそうで、実用性が高い。一方ここに展示されている軍服は、動きやすいかどうかはわかりませんが、威厳や誇りを感じます。

皇帝ナポレオンの紋章である鷲。雷の上で羽を広げ、左を向いているポーズが特徴です。

アンペリ城から望むサロン・ド・プロヴァンス。時計塔が見えますね。

戦車や爆弾などの兵器が発明されてからは、戦争のスタイルもガラリと変わりました。いつの時代も殺し合いは良くないけれど、昔の戦争の方がまだ人間味があったのかもしれないなと、ニュースで聞く他国の戦争を思い出し、複雑な気持ちになりました・・・。

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