【プロヴァンス・ダイアリー】《プロヴァンスの風物詩》no.6 Pâques (復活祭)

2022年04月13日
タグなし

カトリック教徒の多いヨーロッパでは復活祭はクリスマスと並んで大切にされている伝統行事です。復活祭は春分後の最初の満月の次の日曜日となり、毎年異なります。2022年の復活祭は417日(日)です。4月は復活祭休暇の観光シーズンでもあります。

 

【フランスとドイツや英語圏の国との復活祭の違い】

ドイツでは復活祭をOstern(オースタン)と呼んでいます。
ゲルマン神話の春の女神「エオストレ(Eostre)」の名前、あるいはゲルマン人の用いた春の月名「エオストレモナト(Eostremonat)」に由来しているといわれています。(Wikipediaより)

ドイツでは、ウサギや卵をかたどったチョコレートやパンが3月の終わり頃からスーパーやパン屋さんにずらりと並んでいました(フランスでも同様です)

復活祭の象徴が“卵”なのは、もともとヒナが卵から生まれることをイエスが墓から出て復活したことに結びつけたものです。

また、冬が終わり草木に再び生命が甦る喜びを表したものと言われています。

英語圏やドイツでは復活祭の使いは、“うさぎ”のイメージが強いですね。イースター・バニーが卵を運んでくる(または産む)ものとされています。“うさぎ”は多産なことから、復活祭では豊穣と生命の象徴とされています。日本はアメリカから入ってきたので復活祭=”うさぎ”のイメージが強いかと思います。

 

ドイツで出会った復活祭のポストカード(現行品)は復活祭の使い“うさぎ”が一杯出て来ます。

 

さて、それではフランスの復活祭を見てみましょう。

 

復活祭はフランス語でPâques(パーク)です。

フランスでは、jeudi saint(ジュディ サン)聖なる木曜日(最後の晩餐の日)のミサの後から、キリストの復活を祝うdimanche de Pâquesディマンシュ ドゥ パーク)復活祭の日曜日までの間は、彼の死を悼んで教会の鐘は鳴りません。

「どうして、鐘がならないの?」という子供たちの無邪気な質問に応えて、大人たちはこんな風に説明します。

「Les cloches se rendent à Rome où elles se chargent d’œufs de Pâques qu’elles répandent à leur retour dans les jardins.」
「鐘はローマに行って、復活祭の卵をもらってくるの。そして、帰りには、お庭に卵をばらまきながら帰ってくるのよ。」

復活祭の当日は家族で集まり食事を共にし、子供のいるご家庭ではお庭でエッグハント(Chasse aux œufs = シャス・オ・ズー)天からの贈り物(庭にまかれた卵形チョコなど)を探す遊びをします。

Lundi de Paques(ランディ ドゥ パーク)復活祭の月曜日も祝日です。

この日は市町村主催のエッグハントが開催され子供からお年寄りまで参加して楽しまれます。

 我が村でも広場に集まり子供達がエッグ・ハントを楽しむ行事が毎年開催されています。

※この言い伝えはヨーロッパでもフランス・イタリア・スイスの一部のフランス語圏だけだそうです。

娘の友達の家ではベランダからママが隠れながら“呼び鈴”をならし、チョコをお庭にばらまいたそうですよ。頭に当たって痛かった思い出があるそうです。

 

“うさぎ”ではなく“空を飛ぶ鐘” イメージ湧きますか?

パン屋さんのウィンドーにペイントされた“空飛ぶ鐘”です。

 

【復活祭のシンボル】

フランスで見つけた復活祭のアンティークポストカードです。

うさぎのカードは1枚も出会ったことがありません。“空飛ぶ鐘”は思ったより優雅に飛んでいます。

 

一番多いのは“卵” ”鶏” ”ヒヨコ”です。“卵”は誕生、肥沃、復活、善意を示します。鶏やヒヨコは再生のシンボルです。

“ネコヤナギ”のカードも見かけます。le dimanche de Rameaux ( ディマンシュ ドゥ ラモー)枝の主日とよばれる(復活祭の1週間前の)日曜日に信者たちが、イエスを歓迎して、彼の足元にしきつめたrameau(ラモー)小枝が国によっては手に入りにくく、丁度復活祭の時期に開花するネコヤナギを代用したことから広まったそうです。プロヴァンスではオリーブの小枝で代用されます。

子羊は、キリスト教ではイエスキリストの象徴とされています。復活祭の食卓のメインとしても振舞われる子羊。古代より春に子羊は神に捧げる風習から復活祭のごちそうとして定着しているようです。

 

【復活祭のチョコレート】

3月に入るとスーパーマーケットには復活祭コーナーが設けられ定番の卵・鶏・ヒヨコ・子羊・うさぎや伝統的な鐘型・魚型のチョコが並びます。

 

町のチョコレート屋さん情報→ Chocolat fabrique “LE MOULIN DU CACAO”

住所:6339 Av. des Logissons, 13770 Venelles

 

動画の中にも魚型チョコレートが出てきます。魚型は『Poisson D’avril (ポワソン・ダブリル)4月の魚』でも出てきましたが、補足すると復活祭の魚型は、イエスキリストの復活後に起こした7つの奇跡の4つ目『イエス様が、五つのパンと二匹の魚をもって男の人だけで五千人の人々の空腹を満たされた』から由来しているそうです。

あまりにも可愛くてついつい買ってしまいますが、この時期チョコレートの食べ過ぎ注意!です。

 

「【プロヴァンス・ダイアリー】《プロヴァンスの風物詩》no.6 Pâques (復活祭)」に6件のコメントがあります

  1. Mamanさま
    ステキなお写真と動画とご説明ありがとうございます!以前、パリに行った時にスーパーやチョコレート屋さん、街の至る所に卵とうさぎのチョコがあって、イースターは知っていましたが、その意味も、もちろんこんなにみんなでお祝いするものとは知らずびっくりしました。
    Mamanさんの説明で、とても良くわかりました!
    次に復活祭の時期にフランスに行ったら、Maman さんのように卵やウサギの美味しそうなチョコを買おうと思います!
    それにしても、Maman さんのご自宅のディスプレイが素敵!憧れます!!
    動画を見入ってしまいました!
    また次のダイアリーも楽しみにしていますねー!

    1. イザベル様コメントありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*💖

      こちらのブログ楽しんで頂けてとても嬉しいです。

      イースターは日本ではハロウィン程浸透していないようですね。絶対こちらの方が可愛いので是非イザベル様界隈で盛り上げて下さいませ。復活祭のお茶会素敵だと思います。

      フランスの復活祭は空飛ぶ鐘🔔ですのでアンティークポストカードにふれる機会があれば手にとって頂きたいと思います。

      我が家のディスプレイも楽しんで頂けてましたか。励みになるお言葉ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

  2. 食べるのがもったいないくらい可愛いチョコレート🍫🍫🍫ママンさんのオシャレなお皿は卵料理用ですか?

    1. cherque様、コメントありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*🔔

      可愛い子たちしっかり味わって頂きました😋❣️
      小さな卵も一つ一つ丁寧なお味でほっぺた落ちる美味しさでした😍動物もスーパーのものは中が空洞のものも多いのですが、こちらびっしりクリーミーなチョコが詰まっていて幸せなお味でした🍫( ꈍᴗꈍ)🐑🐤

      そうです!このお皿はゆで卵専用皿です。中にはヒヨコの形が凸凹型押しされています🐤🥚復活祭に大活躍のお皿です😆

  3. Mamanさん、こんにちは!
    復活祭は日本にはなじみのない行事ですけれど、クリスマスと同じくらい、大事にされているのですね。
    空飛ぶ鐘は初めて知りました!それから魚のチョコレートの意味も。
    Mamanさんの復活祭のポストカードがとっても素敵ですね💕💕沢山集めていらっしゃるのですね。☺️私も見つけたら買いたいなぁ😍
    街のショコラティエは、バレンタインデー以上の力の入れようかと思いますが、売れ残っちゃった、卵や鶏、ウサギ、魚、鐘はどうするのか、とても気になりました😅

    1. cherry様、コメントありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*🔔

      復活祭の雑貨は可愛いので日本でもきっと流行ると思います(ハロウィンより絶対可愛い😋)
      それぞれのシンボルの意味が分かると尚の事楽しめると思います🔔🐣🐰🐓🐑🐖🍫

      是非復活祭のポストカードも探してみてくださいね。フランスの思い出に空飛ぶ🔔と四月の魚は会話も弾むかと思います🤭

      確かに!クリスマスも復活祭もこの時期が終わると撤収されますよね。もう一度溶かして再利用されるのかしら🤔

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

新着投稿記事

プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第28回 〜 プロヴァンスワインを買いに、シャトーへ行こう! 〜

フランスワインといえば、ほとんどの人はボルドーやブルゴーニュを思い浮かべますが、プロヴァンスも有名なワインの生産地です。車を走らせていると、至るところにぶどう畑やシャトーを見かけます。 実は、プロヴァンスはフランス国内で

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第27回 〜 デニムの発祥地「ニーム」のまちなかはローマ遺跡だらけ 〜

まちなかにローマ遺跡が点在 ニームは「フランスのローマ」といわれるほど、たくさんのローマ遺跡があります。 古代ローマ時代、第25回で紹介したポン・デュ・ガ-ルを通り、ユゼスから水を引いていたまちです。 また、ニームは「デ

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第26回 〜旧石器時代から続く山村「セーニョン」で、特別な岩に登る〜

プロヴァンスの山間には、可愛らしい村がいくつもあります。人口1000人程度のセーニョンもそのひとつ。 セーニョンに人が住み始めたのは遥か昔、中期旧石器時代(20万年〜3万5千年前)だとか。ネアンデルタール人とかクロマニヨ

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

【mamanのプロヴァンス街歩き、Cours Julien2022】速報!2022年度、世界で「最もクールな」51地区のランキング発表

プロヴァンス好きな皆様に嬉しいニュースが飛び込んで来ました。 英国の雑誌タイムアウトが毎年発表している世界で「最もクールな」51地区のランキングが2022年10月11日(火)に発表されました。 20,000 人の都市居住

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第25回 〜 2000年前にローマ人が建設した水道橋「ポン・デュ・ガール」〜

ニーム近郊オクシタニー地方にあるポン・デュ・ガール(Pont du Gard)は、ガール川にかかる巨大な水道橋です。 この水道橋は、古代ローマ時代の紀元前19年から5年かけて建設されたそうです ※年代については諸説あり。

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第24回 〜ノストラダムスが予言書を書いたまち「サロン・ド・プロヴァンス」〜

サロン・ド・プロヴァンスは、人口4万人ほどのまちで、ノストラダムスがいたことで知られています。 また、空軍基地や空軍士官学校があり、たまたま車で通りがかったときに、アクロバット飛行をしている戦闘機を見たこともありました。

記事を読む
プロヴァンス・キッチン

《大畑シェフ料理教室》第三回〜スフレパンケーキとエルダーフラワー風味のさくらんぼソース〜動画&レシピ

・エルダーフラワーのシロップ ①鍋に砂糖:水を1:2の割合で入れ、沸騰させる。※割合はお好みで変えてもOK ②沸騰したら火を止め、エルダーフラワー(とお好みでスライスレモン)の上に①を入れる。 ③そのまま一晩置いておく。

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第23回 〜 「サン・トロペ」後編:セレブの街をそぞろ歩き 〜

ここはセレブの街サン・トロペ。 エルメス、シャネル、グッチ、ヴィトン・・・歩いているとハイブランドのブティックが次々と目に飛び込んできます。 ふいに目の前にオープンカーが止まり、モデルのようにきれいな女性が男性にエスコー

記事を読む

新着投稿記事

プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第28回 〜 プロヴァンスワインを買いに、シャトーへ行こう! 〜

フランスワインといえば、ほとんどの人はボルドーやブルゴーニュを思い浮かべますが、プロヴァンスも有名なワインの生産地です。車を走らせていると、至るところにぶどう畑やシャトーを見かけます。 実は、プロヴァンスはフランス国内で

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

【プロヴァンス・ダイアリー】【プロヴァンスの風物詩】no.8 クリスマスの日にいただく13種類のデザート

南仏プロヴァンスでは、クリスマスに13種類のデザート(Les treize desserts レ・トレーズ・デセール)を食べる習慣があります。なぜ13種類?いつ何を食べるんでしょうか? なぜ「13」? キリストの「最後の

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第27回 〜 デニムの発祥地「ニーム」のまちなかはローマ遺跡だらけ 〜

まちなかにローマ遺跡が点在 ニームは「フランスのローマ」といわれるほど、たくさんのローマ遺跡があります。 古代ローマ時代、第25回で紹介したポン・デュ・ガ-ルを通り、ユゼスから水を引いていたまちです。 また、ニームは「デ

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第26回 〜旧石器時代から続く山村「セーニョン」で、特別な岩に登る〜

プロヴァンスの山間には、可愛らしい村がいくつもあります。人口1000人程度のセーニョンもそのひとつ。 セーニョンに人が住み始めたのは遥か昔、中期旧石器時代(20万年〜3万5千年前)だとか。ネアンデルタール人とかクロマニヨ

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

【mamanのプロヴァンス街歩き、Cours Julien2022】速報!2022年度、世界で「最もクールな」51地区のランキング発表

プロヴァンス好きな皆様に嬉しいニュースが飛び込んで来ました。 英国の雑誌タイムアウトが毎年発表している世界で「最もクールな」51地区のランキングが2022年10月11日(火)に発表されました。 20,000 人の都市居住

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第25回 〜 2000年前にローマ人が建設した水道橋「ポン・デュ・ガール」〜

ニーム近郊オクシタニー地方にあるポン・デュ・ガール(Pont du Gard)は、ガール川にかかる巨大な水道橋です。 この水道橋は、古代ローマ時代の紀元前19年から5年かけて建設されたそうです ※年代については諸説あり。

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第24回 〜ノストラダムスが予言書を書いたまち「サロン・ド・プロヴァンス」〜

サロン・ド・プロヴァンスは、人口4万人ほどのまちで、ノストラダムスがいたことで知られています。 また、空軍基地や空軍士官学校があり、たまたま車で通りがかったときに、アクロバット飛行をしている戦闘機を見たこともありました。

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第23回 〜 「サン・トロペ」後編:セレブの街をそぞろ歩き 〜

ここはセレブの街サン・トロペ。 エルメス、シャネル、グッチ、ヴィトン・・・歩いているとハイブランドのブティックが次々と目に飛び込んできます。 ふいに目の前にオープンカーが止まり、モデルのようにきれいな女性が男性にエスコー

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第22回 〜「サン・トロペ」前編:ブリジット・バルドーが愛した港町〜

小悪魔ブリジット・バルドー 60年代に一世を風靡したブリジット・バルドーをご存じですか? パリ出身の女優でありモデル、歌手でもある彼女は、そのセクシーかつ野生的な魅力で人々を虜にしました。 「ヨーロッパのマリリンモンロー

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第21回 〜ヨーロッパで最も美しいビーチがある「ポルクロル島」〜

車がいない穴場の島 ポルクロル島(Il de Porquerolles)は、第20回 〜 歴史、花、海、ダンス!?「イエール」の盛り沢山な一日 〜で紹介したイエールから、船で約20分のところにある島です。 イエールにはポ

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第20回 〜 歴史、花、海、ダンス!?「イエール」の盛り沢山な一日 〜

イエール(Hyères)は、地中海に飛び出ている半島があるまちで、「黄金の島々」と呼ばれる3つの島を有しています。 まちに7000本のヤシの木が植わっていることから、イエール=レ=パルミエ(Hyères-les-Palm

記事を読む
プロヴァンス・ダイアリー

【プロヴァンス・ダイアリー】《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第19回 〜 ラベンダー畑へ:③ソーエリア編 〜

真正ラベンダーとラバンジン ひとくちにラベンダーといっても、いくつも種類があるのをご存知ですか? スパイクラベンダーとかイングリッシュラベンダーとか、調べるといろいろあるのですが、プロヴァンスのラベンダーを見に行くにあた

記事を読む
ログイン