「セナンク修道院」は、キリスト教カトリックの「シトー会」の修道院です。
シトー会って何?
シトー会は、12世紀にブルゴーニュで設立された修道会で、戒律を厳密に守り、質素な生活を送ることを信条としています。
清貧を貫くシトー会の修道士たちは、その服装も質素で、染色しない白い修道服を着ていることから「白衣の修道士」とも呼ばれています。
彼らは学問と労働を重んじていて、自ら農業を行います。
かつては開墾や農法の普及を行い、ブルゴーニュのワイン作りをはじめ、フランス国内に大きな影響を与えました。
しかし、1789年に勃発したフランス革命で、シトー会の修道士たちは国内から姿を消してしまいます。
革命が終わると亡命した者たちが戻ってきて、現在のシトー会「厳律シトー会(トラピスト会)」として復興しました。日本にも現在、北海道にトラピスト修道院があります。
山に囲まれた簡素な修道院
プロヴァンスには、「プロヴァンスの三姉妹」と呼ばれる3つのシトー会の修道院が現存していて、セナンク修道院はそのひとつです。ほかに「ル・トロネ修道院」「シルヴァカーヌ修道院」という修道院があります。
三姉妹のうち、いまも現役で修道士が暮らしているのはここセナンクのみ。
シトー会の修道院は、人里離れた僻地に建っています。セナンク修道院もしかり。
そしてセナンク修道院では、ラベンダーの栽培が行われています。
ということで、前置きがかなり長くなりましたが、セナンク修道院はラベンダーの名所なのです。
ラベンダーごしに眺める12世紀の建築
セナンク修道院のラベンダー畑は、前回紹介したヴァランソルにある畑と比べると小さいです。
ここの見どころは、ラベンダーと12世紀の建築物のコンビネーションです。
セナンク修道院は12世紀に建てられ、フランス革命での被害を免れ、当時の姿をとどめています。
シトー会らしく、普通の教会にあるような彫刻や壁画、ステンドグラスなど華美な装飾はありません。とてもシンプルです。
セナンク修道院の建築様式は、10世紀末から12世紀にかけて最新だったロマネスク様式です。
分厚い壁や開口部の半円アーチ、小さな窓などが特徴です。
裏側は補修工事中でした。900年前の建築を維持するのも大変そう。
みなラベンダーごしに修道院を眺めていました。向かって右手の建物はラベンダーグッズのショップが入っています。それから寝室や回廊、教会なども見学できます。厳格な修道院の生活、私には絶対無理! だけど、憧れます。
プロヴァンスの風景に溶け込むラベンダー
セナンク修道院の帰り道、山を降りてきたところで、雰囲気のいいのラベンダー畑を発見!
風が吹くと一斉になびいてまたキレイ。
遠くに小さな村が見えます。セナンク修道院があるリュベロン地方は、ああいう村がいくつも点在しています。
少年がラベンダーのエッセンシャルオイルを直売していました。
プロヴァンスには、名所以外にも至るところにラベンダー畑があって、シーズン中は鮮やかな紫色をよく目にします。マルシェでも花束が並びます。ラベンダーはプロヴァンスの風景の一部なんですね。