ムスティエ焼きで知られる小さな村
ムスティエ・サント・マリーは、プロヴァンスの山岳地帯にある人口700人程度の村です。
このブログの第六回〜スリルと景勝!「ヴェルドン渓谷」をドライブ〜で紹介した、サント・クロワ湖にかかる橋「Pont du Galetas – Gorges du Verdon」から車で10分強のところにあります。
この辺りは、切り立った岩山とその間を流れる清流の、迫力ある景勝が広がっています。ムスティエ・サント・マリーも遠くから見ると、断崖絶壁を背負っているのがわかります。
ムスティエ・サント・マリーは車かバスでしかアクセスできませんが、人気の高い観光地で「フランスの最も美しい村」にも登録されています。
人気が高い理由のひとつは「ムスティエ焼き」という高級陶器の生産地だから。
ムスティエ焼きは17世紀から始まり、フランス王宮でも使われていたそうです。その後時代の流れとともに一時は衰退しますが、1920年台に復活。現在も昔と変わらない工法で、職人が一つひとつ手作業で絵付しています。
ムスティエ焼きのお店に入ると、多種多様な陶器があります。お皿だけでなく、花瓶やランプ、小物入れ・・・。どの陶器も白さが美しいです。この白さがムスティエ焼きの大きな特徴です。
フランスの古い家へ行くと、よくお皿を絵画のように壁に飾っているのを見ます。以前ご高齢のマダムの家に民泊をしたとき、ムスティエ焼きが飾ってありました。やはり特別なお皿なんですね。
水の音に包まれた可愛らしい風景
村の中央には澄んだ小川が流れていて、両岸のレストランやお土産屋にせせらぎが届きます。
ところどころにプロヴァンスらしい泉があります。このように水が豊かなところが、陶器の産地として栄えた理由のひとつです。
路地に入るとギャラリーや雑貨屋があり、村全体がおしゃれというか、可愛らしいというか、歩くだけで楽しいです。
「L’Étoile Givrée」というアイスクリーム屋がおいしいので、散歩のお供にぜひ。
石段の先にある長めのいい礼拝堂
村の一番高い場所、岩山に貼り付くように「ノートルダム・ド・ボーヴォワール礼拝堂」があります。長い石段を登って行くのですが、これがちょっとした登山のように大変でした。
素朴な教会にたどり着いたら、なんと結婚式が行われていました。入口を開放していたので、外から見学できました。牧師の言葉を聞き、全員で歌を歌ったりしています。
村の向こうまで見渡せる素晴らしい景色。遠くにサント・クロワ湖も見えます。鳥になったような気分です。
帰り道で、結婚式に遅刻している参列者たちとすれ違いました。まさかこんな長い石段を登ることになろうとは思っていなかった様子。でもなんだか楽しそう。
テーブルの上で存在感を放つお皿
お土産に買ったムスティエ焼きです。
お花と鳥は、ムスティエ焼きで最もよく描かれるモチーフです。この鳥を見て、手塚治虫の火の鳥を思い出すのは私だけでしょうか。
また、右上の2枚のお皿はちょっと変わった輪郭をしています。これは、プロヴァンスの噴水の形なのだとか。
左の器はおたまやカトラリーを置くためのものですが、日本人としては焼き魚かな。気球のモチーフは、1783年にフランスで気球による世界初の有人飛行が行われたことにちなんでいるそう。
ムスティエ焼きは一般的なお皿よりも軽くて、一枚いちまい形も絵も微妙に揃っていません。その分、工業製品にはないぬくもりがあります。
テーブルに置いたときの存在感は唯一無二。
大事に使っています。