スミレの村
トゥーレット・シュル・ルー
南仏に数えきれないほどかわいい村がありますが、その中でもあまり知られていないトゥーレット・シュル・ルー(Tourrettes sur Loup)はとてもおすすめの村です。
サン・ポール・ド・ヴァンスとグラースの間に位置していて、中世時代に占領されないため崖の上で建てられました。城壁のような家が今でも残っていて、きれいに維持されています。あまり観光化されていなくて、アクセスが不便なので一年中いつ訪れても静かな穴場的な存在です。
「スミレの村」として有名になったのは、気候がスミレの栽培によく適していて、昔からスミレを生産しているからです。花は砂糖漬けにして、葉っぱは近くにあるグラースという町に運んで香料に利用しています。ただ、実は村の中心でスミレを探してもありません。今でも残っている生産者はすべて村の郊外にあり、アクセスには車が必要で、気軽に見学できないのは少し残念です。
でもその代わり、街にはスミレのいろんな楽しみ方があります。村を散策しながらスミレのアイスを食べたり、砂糖漬けをお土産として買ったりできます。毎年2月末に開催される「スミレ祭り」もとても人気。ミモザやスミレをたくさん飾った花車のパレードや、スミレグッズをたくさん販売するマルシェも開催されます。ニースのカーニバルやマントンのレモン祭りと同時に開催されますので、近くに来られることがあればぜひとも訪れてみてください。
スミレの他にもトゥーレット・シュル・ルーの魅力はさまざま。ずっと続く石畳の路地はエズ村より分かりやすくて、坂が少ないので歩きやすいです。道が主に一本で、あまり迷いません。かわいいブティックやアトリエが続き、どれにも入りたくなります。サン・ポール・ド・ヴァンスと比べるとシンプルな雰囲気でギャラリーはあまりなく、お手頃価格のお買い物が楽しめます。陶器やキャンドル工房、オリーブの木を使ったまな板やボールのお店などを気軽に覗いてみてください。
海外のアーティストや外国人に人気な村で別荘も多いですが、一年中住んでいる人も多く、日常生活が溢れます。木の陰でおしゃべりするお年寄りや、涼しいところでお昼寝中の猫もたくさん。猫がお好きならトゥーレット・シュル・ルーでにゃんこに出会えるチャンスも多いと思います。
次のところに移動する前に、村に入り口にある駐車所を除いてみてください。奥にペタンク上があって、雨が降らない日は必ずペタンクを楽しむおじいさんたちがいるはず。少し休憩して、ベンチに座って、しばらくゲームしているのを見てみてください。会話を少しでも理解できれば面白いし、必ずと言っていいぐらい声をかけられて、地元の人となかよくするきっかけになり、旅の貴重な思い出になるのは間違いなしです。