【プロヴァンス・キッチン】【青漣のプロヴァンス美食巡り〜ミシュラン笑撃レポート編】no.3 La Closerie

2022年04月27日
タグなし

皆様こんにちは。「氣」と「愛」のこもったお料理を探して放浪しております青漣です。エクサンプロヴァンスも日が長くなり良い季節になってきました。日本も若葉が目に染みる季節ですね。こちらは今菜の花、藤の花、花蘇芳などが本当にきれいです。

春の風に誘われて今回訪問したところはアンスイの一つ星レストラン La Closerie です。このレストランはこのシリーズの最終回と言うものがあるなら最後にドーンとご紹介したいと思うくらい私の好きなお店です。

アンスイはリュベロン地方自然公園内に位置し人口1000人くらいの本当に小さな村です。

「フランスで最も美しい村」に認定されこの村のシンボルとも言えるお城とサン・マルタン教会は歴史的建造物に指定されています。あまり観光地化されていないけれどどこを見ても美しい道をゆっくり歩き13世紀からの石造りの建物を見て、美味しいお食事を頂くのは贅沢な時間と思います。

私が転居してきた当初は地元の方とアンテナの高い食いしん坊の集まるお店という感じで、ランチがワイングラス付きで40€でお釣りが来るという良い時代でした(遠い目) 

何回か通う内にサービス担当のマダムデルフィンヌから、このレストランを2003年からご主人でシェフのオリビエと二人三脚で始めて、隣の敷地も買取り少しずつ大きくしてきたと言う話や、子育てでは仕事が忙しく子供に寂しい思いをさせたかもしれないと思っているのよ。という気持ちなど話して頂いた時もありました。

Closerieとは小さな農場、野外舞踏場、小さな葡萄畑などの意味があります。どうしてこのお店の名前にされたのかいつか伺ってみたいです。

 

ミシュランの審査員はこのお店に次のような言葉を贈っています。

このラ・クロズリーはプロヴァンスの讃美歌です。 ピアノのようにシェフが新鮮な食材を使った味わい深いレシピを南仏の美味しいワインと一緒に紹介しています。チャーミングな歓迎ぶりは優しいメロディーを奏で美食家もうならせる。

 

昨年デルフィンヌがミシュランガイドの「おもてなしとサービス賞」を受賞されました。パリのエッフェル塔のレストランジュール ヴェルヌからの授賞式の中継を見た時は私も目頭が熱くなりました。

今回はお友達5名とコロナでの色々な規制が解除されてから初めての訪問です。

 

 

《Atmosphere=雰囲気》

お店は村の玄関口とも言える場所にあり、まだテラス席はありませんでした。景観の素晴らしいテラス席が開かれるともっと南仏らしい素敵な雰囲気になると思います。

 

以前はカルト(メニュー一覧)があり、アラカルトや価格の違う設定もありましたが、現在ランチは44€のコースのみの日替わりメニューとなっていました。黒板や紙に書かれたメニューもなかったのが少し残念でした。

マダムがアレルギーなどの確認をした後今日のメニューの説明をして下さいました。これはフランス語堪能な方でも一回で聞き取るのはかなり難易度が高かったです。

 

《Amuse-bouche=突き出し(先付け)》⭐️⭐️⭐️

 

黒オリーブのケークサレとクミン風味のガレット

松の実の入りのシェーブルチーズを添えて

 

黒オリーブにクミンとプロバンサルな食材でシンプルですが四角と丸そして高さを出して目線を楽しませる盛り付けはさすがです。これはお家での集まりにも使えそうな技ですね。

やや塩味強めの黒オリーブのケークサレとヨーグルトを思わせる爽やかな柔らかいチーズの美味しいこと。グラスシャンパンを頼むべきだったと少々後悔しました。

 

二品目のアミューズ

青豆のカプチーノスープ

クリームとフライドエシャロットを混ぜて

たまたま前日に私がマルシェに行って青豆を物色していましたらお店の方が「今の季節だけは青豆を生で食べると美味しいよ」と教えてくださったばかりでした。

青豆のポタージュの中に細かく刻んだほぼ生の青豆も入っていて一度で二度美味しい、そしてクリームのカブチーノとエシャロットを混ぜると三度美味しい今の季節だけのスープでした。何気ないスープなのですが、このような自宅では絶対しない細やかな手の入ったお料理を頂くと幸福感が倍増します。シェフありがとう!と心の中で呟きました。

 

ワインはマダムにお薦め頂いたDOMAINE LE NOVIのCôté Levant 2021をボトルでお願いしました。

グルナッシュ、ヴェルメンティーノ、シラー、サンソーが45/20/20/15の割合でセパージュされています。こちらのドメーヌはここからすぐ近くで化学肥料や除草剤を使用せず土壌に大変な留意をしながらワインを作っているそうです。

100パーセント除梗(枝や茎を取り除くこと)されているためかそれともブレンドによるものか色が桜貝のように美しくフレーズの香りですが甘味は強過ぎず、心地の良いワインでした。価格もフランスで市販されているのを調べますと8€から10€でいわゆるコスパの良いワインではないでしょうか。

「おもてなしとサービス賞」を受賞されたマダムセレクトのワインの話は食卓を楽しくさせてくれそうです。

 

《Entrée=前菜》⭐️⭐️⭐️

 

ルジェのテリーヌ 春のソースを添えて

 

ルジェ(rouget)は赤みがかかった色が美しい白身の魚でフランス料理の高級食材です。たまにカルフールやマルシェでも見かけることはありますが値段の高さと大きさに腰がひけて自分で調理したことはありません。

この3層に美しく蒸し上がったふわふわのテリーヌ!!日本ですとさほど感激も無いかもしれませんがこの南仏では中々お目にかかれません。ソースはターメリックを使いプロバンサルに仕上げています。

あーこの感動再び。。とまた私はここに来てしまうでしょう。

 

《Plat=メインディッシュ》⭐️⭐️⭐️

 

ほろほろ鳥のバロンティーヌ 繊細な仕上げで

空豆とプチ・テポートルのリゾットを添えて

 

テーブルに出された時に皆が「ほろほろ鳥初めて〜」と感激しながら頂きました。

メニューが一種類ですと普段何となく敬遠してしまう食材を頂けるのは保守的な人には面白い経験かもしれません。

もっと淡白かと思いましたが中に細かな肉が詰めてあるためシットリして「お初ほろほろ鳥」を堪能させて頂きました。ここで顔をしかめる人がいると残念な事になるのですが、みんなニッコニコソースも綺麗に最後まで頂きました。

そしてリゾットに使われていたのがこれも誰も名前の知らない食材でした。

私が5年前ロンドンに旅行した時にサラダに使われていたのですが名前はわからないままでした。マダムに名前を書いて頂きました。「Petit Epeautre」日本でも雑穀や古代米はいろいろ使われていますが、パンなら全粒粉のブリオッシュ、米なら日本の古代米というテイストでした。栄養豊富でグルテンが少なく農薬要らずの古代小麦のようです。

ロンドンから比べると周回遅れで健康ブームが来ている感の南仏ですが、いよいよ南仏にも雑穀、古代麦ブームがやってくるのか。。と感慨深いものがありました。

どうぞこのプチテポートルまたはプチ・エポートル頭の片隅にメモメモお願い致します。

 

《Dessert=デザート》⭐️⭐️

ショコラとアーモンドのタルト

パッションフルーツのソルベ

お恥ずかしながら青漣、食べられない物、嫌いな物は全くないのですが、弱いものが油とチョコレートなのです。という訳でどんなおいしくても許容量を超えないように自重しています。

半分自主規制したタルト、持ち帰りたかったです。

毎回デザートも素晴らしいので安心して日本からの女友達を連れて来ることができるお店です。

もっとフランス語が出来れば最初にメニューの説明があった時に、「私はチョコレートが苦手です。」とちゃんと言えればきっと違うデザートを用意してくださったと思います。「Noと言える日本人」の道は険しいですが、感じ良くちゃんと自分の好みを言えるようになりたいです。

最後にカフェに添えて出されたプチフールは今出来上がったようなふわふわのマシュマロとバターの香り高いフィナンシェでした。「もう入らない」と言いながらしっかり別腹に収まりました。

アフターコロナと物価の急上昇の中、いろいろ試行錯誤されている感じもありましたが、”おもてなし”と “料理の提案 “の調和が見事なこのレストランのファンとしてこれからも寄せて頂きたいと思います。

それではまた À bientôt !

 

 

「【プロヴァンス・キッチン】【青漣のプロヴァンス美食巡り〜ミシュラン笑撃レポート編】no.3 La Closerie」に4件のコメントがあります

  1. アンスイ、素朴でかわいい街ですね。
    お料理はどれも手が込んでいて南仏らしさもあり、見たことのないものばかりで食べたくなりました!!

    1. INES様 コメントありがとうございます。
      アンスイ本当に可愛くて綺麗な街です。
      プロバンスの景色を眺めながら地元の食材、ワインなど上手に活かされて何かしら新しい発見があります。(^^)

  2. 青漣さん、こんにちは!
    ミシュラン笑撃レポート楽しく拝見いたしました!
    アンスイの街の雰囲気にレストランがとても溶け込んでいる感じがしました。
    Mamanさんの動画で街歩きの様子やお料理の流れのご紹介があってイメージがつかめます。雰囲気の良い静かなとても良い街ですね。石造りの建物と猫ちゃんたちが絵になるわ~。
    レストランのお料理は見た目も美しく細やかな気配りがあり、素材も旬を取り入れて「春」の演出でしたね!特にほろほろ鳥のバロンティーヌと空豆とプチ・テポートルのリゾットは素晴らしいです!!ゆっくりと味わいたい一品ですね。おもてなしの賞を受賞されただけありますね!気取らなくて明るくてくつろげる雰囲気がレポートからも伝わってきました。

    1. Cherry様 コメントありがとうございます。
      ミシュランの星以外に「おもてなしとサービス賞」がある事を知れたのはデルフィンヌのおかげです。ミシュランの本も買ってみます。(^^)

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