《旅好きライターのプロヴァンス暮らし》第10回〜モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの「ユニテ・ダビタシオン」〜

2021年12月03日
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コルビュジエ理想の集合住宅

マルセイユで、ル・コルビュジエが設計した「ユニテ・ダビタシオン」に泊まりました!

コルビジェはモダニズム建築の巨匠。
近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、自由な立面、水平連続窓)を提唱しました。

「ユニテ・ダビタシオン」は、コルビュジエが設計した理想の集合住宅です。ヨーロッパにいくつかあり、マルセイユにあるものが最も有名です。

1945~1952年に建てられた8階建て全337戸。今も人が暮らしていますが、一部ホテルになっています。

このユニテ・ダビタシオン、なんと世界遺産です。
宿泊料は安い部屋で1泊1万円前後。ビジネスホテルの価格帯で、世界遺産に泊まれるんです。

モダニズム建築ってどんな建築?

モダニズム建築の誕生で、建築の歴史はこれまでの石やレンガを積み上げたものから、現代も続く鉄筋コンクリートへと大きな転換を遂げました。

モダニズム建築は “機能主義・合理主義・経済主義” を強調しているといいます。
簡単に言えば、装飾のないシンプルな建物ということ。

第二次世界大戦後は、モダニズム建築のビルやマンションが都市に立ち並びました。
するとかえって「味気ない」と批判されるようになってしまいます。
そして80年代になると、モダニズム建築を超えるものとしてポストモダン建築が流行ります。

ユニテ・ダビタシオンはモダニズム建築の代表作です。
「シンプルすぎて、殺伐とした空間なのかな?」と、身構えながらに踏み入れました。

コンパクトなのに解放感たっぷり

「狭っ!」と、部屋に入った途端口に出してしまいました。大学生の一人暮らしより狭いかも。
それでも、窓が大きくて、ベランダが広くて、解放感があります。

ベッドや机など家具は小さめで、動線を邪魔することなく収まっていて窮屈じゃない。
照明や棚の配置も工夫されていて、無駄な空間はひとつもありませんでした。

質のよい暮らしが実現する集合住宅

屋上に行くと、マルセイユの街と海を一望できました。
ぽつんとある銅像は、コルビュジエが独自に考案した尺度「モジュール」を表しています。私は「モジュールくん」と呼んでいます。

屋上には子供向けのプールや休憩スペースもあり、集合住宅の住人らしき家族が遊んでいました。
また、夕方になるとヨガレッスンでもあるのでしょうか、ヨガマットを抱えた住人が集まっていました。

さらにユニテ・ダビタシオンの中には、幼稚園や図書館、卓球室、映画室、本屋など、生活に即した施設が入っています。

夕日が沈む方向にはカフェとレストランがあり、一日の終わりには素敵なひとときが待っていました。

なんて上質な暮らしぶりでしょう。

ユニテ・ダビタシオンの設計は、確かにとても合理的、機能的だったけど、それだけではない、住み心地をよくする工夫が、随所に感じられました。
さすが巨匠。私もこんな集合住宅に住んでみたいです。

 

 

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