【プロヴァンス・キッチン】【青漣のプロヴァンス美食巡り〜ミシュラン笑撃レポート編】no.1 Petite maison de Cururon

2021年12月09日
タグなし

待望の新連載、プロヴァンスの美食を知り尽くした青漣さんのミシュラン笑撃レポート第一弾です、mamanさん渾身のビデオも添えてお送りします。旅行ができない今、せめて文章、写真、そして動画でプロヴァンスのレストランを体験していただきたい、とこの企画を立ち上げました。プロヴァンスには大都市のみならず、小さな村に素敵なレストランが点在しています。今回もそんな小さな村から!(Like! Provence林 元吾)

はじめまして、南仏はエクス・アン・プロヴァンス在住、青漣と申します。
食べ歩きが大好きで「氣」と「愛」の入ったお料理を求めて放浪しています。これから不定期ですが南仏のレストランのお料理とお酒の突撃レポート、ならぬ笑撃レポートをさせて頂きます。どうぞ気楽にご笑覧ください。
今回訪問したのが私の住んでいるエクス・アン・プロヴァンスから車で40分、南リュベロンのキュキュロン という街のミシュラン一つ星レストラン「La Petite Maison de Cururon」です。キュキュロンの小さなお家、という、まさにその名の通り、プロヴァンスの小さなお家を訪れたような雰囲気のレストランです。

キュキュロンは小さな街ですが、昔からのリュベロンの趣を残しているために幾つかの映画の撮影に使われています。フランス映画好きの方は「この光景見たことある」と思われるかもしれません。
街の中心には樹齢200年のブラタナスに囲まれた貯水池があり、それは春夏秋冬どの季節もとても素敵な光景です。

その貯水池のすぐ隣に今回の突撃目標、予約のなかなか取れない「La Petite Maison de Cururon」があります。

《Atmosphère=雰囲気》 ⭐️⭐️⭐️
外観は南仏の普通のお家ですが、一歩中に入るとまるでセザンヌの絵の中に入り込んだような気持ちになる伝統的南仏スタイルのダイニングでした。席に座った時のお部屋の全体感、なんとも言えない心地よさ、これは特筆ものです。

今回はメゾンのおすすめ料理にそれぞれソムリエが選んだお酒がついて98ユーロのコースをご紹介します。
日本でもこういう形式のお店少しずつ増えてきていますが、お酒は好きだけれど分厚いワインリストから選べるほどよくわかっているわけではない人(私です)とかお料理に合わせて赤、白飲み分けたいけれどソムリエに頼むと最後の会計までドキドキしてしまう人(私です)とかにはこれだけで「神対応」と思いたくなる提案です。
一つ星シェフのお料理に合わせてどんなお酒が提供されるのでしょうか。。。期待が高まります。

《Amuse-bouche=突き出し(先付け)》 ⭐️⭐️⭐️
常々思うのですがメインに力を入れているのはどこのお店でも当たり前で、前菜とデザートに手を抜いていないお店というのは後々まで思い出に残ります。

今回は同席した全員が「わぁ〜」と思わず声が出た可愛いアミューズちゃんでした。美味しくて、可愛くて、見て楽しくて。この可愛いアミューズ を昔の絵本の「コックさん」そのままのポッチャリ系シェフの大きな手で作ったのかと思うと笑みが溢れます。早速ミニ植木鉢を購入して真似してみたくなりました。

これに沿って提供されたお酒がVin d’orange on the rocksでした。Vin(ワイン)という表示に騙されましたが帰宅して調べたところ、南仏のロゼワインにオレンジの皮、バニラ、シナモン、きび砂糖、そして40度のリキュールで作る日本の梅酒みたいなものでした。私はお酒には強いので興味深く頂きましたが弱い方はきっとこれだけで倒れてしまうくらい強いお酒でした。ふむふむ。。空きっ腹にこんな強いお酒を飲む習慣があるのは日本の田舎と一緒ね。。と感心しました。

《Entrée=前菜》⭐️⭐️

Sur une salade de courge spaghetti, une rosace de truite fumée Œuf coulant et crème acidulée au raifort

下から金糸瓜、その上に薄くスライスされた鱒の燻製、半熟卵の三層を西洋山葵の酸味のあるソースで頂きました。

一つ星でアミューズと前菜の食材がどっぷりかぶっていたのは初めてでびっくりしました。南仏料理人の「食材、余らさへんで〜」(なぜか大阪弁)という気概とおおらかさを感じました。
金糸瓜は私の郷土新潟ではよく使われる食材です。こんなところでお洒落にドレスアップした田舎の小娘にお目にかかるとは。。。私も負けていられないと励まされました。

前菜に合わせて提供されたのは AOC Saint Joseph Blanc, Domaine Finon Quatuor2019
この白ワインはヴァランスとリヨンの間のローヌ渓谷で作られています。50/50の割合でマルサンヌとルーサンヌの葡萄で作られていて飲み頃が収穫して3年から5年とのこと。私が普段いただいている白ワインよりほんのり甘く感じましたがフェンネルのようなフレッシュな香りが爽やかで美味しく頂けました。このドメーヌは家族経営で全てのワイン手摘みとのこと。自宅用にもぜひ買ってみたいと思いました。

《Plat=メインディッシュ》⭐️⭐️⭐️

Dos de chevreuil rôti, compotée de chou-rouge Kaki en aigre-doux

秋はジビエの季節ですね。鹿や猪などは自宅では料理しないのでプロのお料理を頂くのはテンション上がります。
手で触れないくらいの熱々のお皿に鎮座まします鹿肉ローストちゃん。火入れも絶妙で柿の甘いソースと絡まって、うっとり、そしてさっぱりで(アラカンにはこれ結構重要です)大変美味しく頂きました。


付け合わせは紫キャベツを柿のジュースでソテーしたものと柿のコンポート。山の恵を存分に堪能させて頂きました。甘い果物をソースにして肉と合わせる技はさすがフランス料理!といつも感心させられます。
これに合わせて供されたのが リュベロンの赤ワインAOP LUBERON Château La Dorgonne2013、 70/30の割合でシラーとグラナッシュノワールです。


普段ですと私はメインの段階になるとアルコールはもうなんでも良くなってくるのですが、このワインは一口頂いただけで襟を正すと申しましょうか、背筋が伸びる味でした。要するにいつも飲んでいるワインと全然違うということです。メニューには2017 と書いてあったのですが2013年を頂けて嬉しかったです。車に乗せて頂いているおかげで私だけ飲めるのに言っちゃいます。「このお料理は赤ワインとセットです(キッパリ)」

《Dessert=デザート》 ⭐️⭐️⭐️

Le Choco-Poire twisté d’un sorbet aux arbouses

「終わり良ければ全て良し」という諺がありますが、我々日本女子を納得させるテザートを出せるレストランがありそうで少ないのが南仏です。
しかしここのお店はやってくれそうです。ローストした栗、小さな焼き菓子、栗クリームそしてメインのデサート登場です。私の心の声はIKKOさんのイメージで「栗まつり〜、可愛い〜、どんだけ〜」
ホワイトチョコレートのムースに乾燥された洋梨が美しく差し込まれ、酸味の強いイチゴノキのシャーベットと素敵なハーモニーでした。

これにマリアージュされたお酒が(まだ飲むの〜と言われそうですがセットメニューですのよ。オホホ)
VDN Banyuls Blanc,Terres des Templiers 2018、これは一度行ってみたいワイナリーと秘かにメモメモしていたテンプル騎士団の洞窟ワインではありませんか。70/30の割合でグルナッシュグリスとグルナッシュブラン、洋梨の香りがするのでこのデザートと合わせたのでしょうか。これも上品な甘めのワインでした。


このワインはフォアグラとか羊やヤギのチーズにも絶対美味しいはずです。
可愛いリモージュのカップでコーヒーを頂くと「壺中日月長」。。びっくりするくらいの時間が流れていました。
南仏に暮らしていても、これだけ感動するのですから日本からいらして半日ゆったりとこのレストランで過ごされたらきっと忘れられない思い出となることでしょう。
最後のお会計はお客様一人一人にシェフが対応します。これがまたこのレストランの最後のおもてなしのようです。みなさん笑顔で感想や質問を寄せて会計に時間がかかるのもなぜかほっこりした気持ちになるのが不思議です。
「愛」と「氣」と「南仏らしさ」を兼ね備えたお食事でした。自信を持ってお勧めできるレストランです。
それではまたまた次回笑撃レポートでお会いしましょう。

「【プロヴァンス・キッチン】【青漣のプロヴァンス美食巡り〜ミシュラン笑撃レポート編】no.1 Petite maison de Cururon」に11件のコメントがあります

  1. 柳原眞理子

    まさに笑撃レポw楽しく読ませて頂きました。
    クスッと笑える中にも、青漣さんの食に対する特別な思いには感銘致しました。
    私の日々の食事は五感全て満たされるとはいい難く、生きていく為とりあえず感になっていたことを少し反省。
    思い出させて下さりありがとうございます。
    次のレポートも楽しみに待ってます♪♪

    1. 柳原 眞理子様
      コメントありがとうございました。眞里子様とご一緒したムスティエのアラン デュカスのレストランも忘れられません。
      普段は我々主婦は生活に追われバタバタですがだからこそたまにはゆっくり❤️してもいいよね😝

  2. 青漣さん、mamanさんこんにちは!
    気になっていたレストランのお食事とワインのレポート嬉しかったです!
    青漣さんの気さくなコメントに、思わずニンマリ。ぐっと敷居が低くなって南仏田舎のレストランのおもてなしを楽しむことができました!
    アミューズ、前菜、メイン、デザートに合わせたお酒がとっても気になりました。全てセットって嬉しいですね。私も体験したいわぁ〜。是非春バージョンレポもお願いしますね💕
    丁寧な動画はご一緒させていただいたような気持ちになりました。
    とっても楽しかったです。
    お疲れさま〜❣️

    1. cherry様、コメントありがとうございます🤗

      私はワインが飲めないのですが青漣さんの本当に美味しそうに飲まれるのを見ながらお食事させて頂くと私も飲んだ気分になれました🤭
      季節が変わったコース料理もとても気になります。
      次来られたときはぜひご一緒しましょうね!

    2. CHERRY様
      コメントありがとうございました。
      フランス語のメニューってかなりハードル高いですよね。ソムリエが事前に選んで下さったワインがセットされているというのはとても嬉しい事です。
      お洋服も私は張り切り過ぎてハイヒール👠を履いて行ってしまいましたが、カジュアルなファッションの方がほとんどでこれも旅行者にはありがたいなと思いました。ハイヒール👠ですと街歩き無理なのでご注意下さい😝

  3. 初コメントです。
    とても興味深く、そしてこんなに美味しそうな食レポは初めて読みました! アミューズからデザートまで盛り付けがお洒落で、写真をいっぱい撮りたくなっちゃいますね^^
    私はそんなにお酒強くはないので、是非このレストランを訪れた際は、Château La Dorgonneだけでも飲んで食してみたいです。
    最後までとても参考になる楽しい記事でした!
    次回の笑撃レポート楽しみにしてます。

    1. MIYU様
      初コメントありがとうございます。
      シラーのワインは普通過ぎるかなと思いましたが適温で保管して5年から8年くらい寝かせるとこんなに変わるものなのだなと思いました。
      最初に決めた日以外開かないワインを保管できるセラーが私には必要です。

  4. MICHIYO TERASAWA様
    コメント頂きありがとうございました。私もお友達がいらして下さると案内したい所が沢山ありすぎていつも悩ましいのですが、南仏の趣きあふれるレストランでゆっくり過ごす日を1回は入れるようにしています。お越しの際は是非南仏ならではのレストランでお過ごし下さい。

  5. MICHIYO TERASAWA

    お料理だけでなく、お店の外観まで写真をアップしてくださってるのでお店ご投稿楽しめました。
    私もぜひとも行ってみたいです。

    1. こんばんは。
      素晴らしい食レポ、ありがとうございます。
      美味しい御馳走、こちらまで賞味しているかのような臨場感に溢れていました。
      丁寧なご説明ありがたいです!
      しかもタイトルの通り笑いがいっぱい。
      お陰さまでコロナにも疫病にも抗体育った気がします。
      本当に素敵なレストランですね❗
      しかも飲み物までついて良心的なお値段。
      是非いつか行ってみたいです。
      mamanさんと協賛でブロカント&美食ツアーの企画 是非ともお願いいたします(^-^)v
      これからもエクサンプロバンス、グルメ情報 楽しみに読ませて頂きます。

      1. VIOLETSWAN様
        コメントありがとうございます。
        私もこちらなら来てたった5年ですが小さな町にびっくりするほど美味しいお店があって、そこそこ人口の多いエクサンプロパンスには美味しい店が。。以下自粛😝皆様がプロパンスに来られる時に少しでも参考になるような記事これからも突撃します。よろしくお願い申し上げます。😊

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